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SAI DIARY

歯科金属アレルギー

2016年5月30日

5月29日に阪大の臨床談話会にて「歯科金属アレルギー」高永和先生の講演を聞いてきました。

最近、どの講習会も面白くて、なんで学生時代は眠かったのかなと思います。 今なら、研究だって出来そうです。

そんなことはさておき、今回の歯科金属アレルギーの話は、かなり衝撃的な結果がありました。

まず、金属アレルギーと聞くと、普通、接触アレルギーを考えるので、   「口の中に何もないから大丈夫」と言われてしまいます。   実際、ネックレスで首がかぶれたとか、ベルトでお腹がかぶれるとかそういうことを皆さんはまず想像すると思います。

 

ところが、口から肛門までの消化器官は、「経口免疫寛容」といって、この消化管をタンパク質や   大腸菌、悪いもの、良いものなどなど、いろんなものが通過し、そこから栄養を吸収するので   あまり反応しないようになっています。つまり内なる外といった感じです。

口腔内もその一つで、直接、アレルギーの原因となるものに触れても、滅多と症状は出ません。

歯科金属アレルギーは、全身に発症するほうが圧倒的に多いのです。

前回、歯周病のお話をしていましたが、その中で、原因の分らない病気は口を疑えと書きました。

今回は、「アトピー性皮膚炎」について興味深いデータがありました。

アトピーとは、「奇妙な」という意味だそうです。つまりアトピー性皮膚炎とは、奇妙な皮膚炎で   原因がはっきりしません。

2000年の高先生の論文で 阪大歯学部附属病院にて、「アトピー性皮膚炎で治り難い人300人」を対象に、

口腔内の金属を除去した結果を 発表されています。

この難治性アトピーの人は、全員、皮膚科にてきちんと治療を受けているにもかかわらず改善しない人を 対象にしています。

41%がエクセレント 29%がグッド

つまり70%の方は、とても良くなったか良くなっており、アトピーに改善がみられたということです。

 

これを、医科の学会で発表しましたが、「治り過ぎ」という訳の分からない理由であまり受け入れてもらえてない そうですが、もっと歯科医師は、アトピー性皮膚炎へのアプローチをすべきです。

 

アトピーだけでなく、湿疹、乾癬、にきび、掌蹠膿疱症、円形脱毛症(ストレス以外)、化学物質過敏症 の患者に対して、金属を含むアレルギー物質を除去することが、驚くほど有効であることが分かる写真を 数多く見ることが出来ました。

 

去年のブログで、歯科金属アレルギーの患者さんの経過を書きました。   先日、初めての定期検診で来院され、象のようだった手が、跡形も無く女性らしい手になっていて、   大変嬉しく思いました。

初診時                     金属除去から9ヵ月後

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歯科金属アレルギーは全身性接触性皮膚炎で、外せば治る

 

ということが大切です。   そして、金属、ガラス、プラスティック、セメント、仮歯、根充剤、外からは見えない土台も含め、   あらゆるものがアレルギーの原因として考えられます。

絶対大丈夫なものはありませんので、その人にとって大丈夫なものを検査結果から探して、使ってみて 様子をみながら治療していくことになります。

残念ながら、勉強不足で、ただ、見えている金属だけを外して、金属アレルギーの治療をうたっている 医院がたくさんあります。見えない部分も大切なので、みなさんも、もし金属アレルギーの疑いがあれば きちんとした医院を選んで下さい。

バナナやキウイで口の中がイガイガする人は、ラテックスアレルギーだったりします。

これは、「交叉反応」といい、似ている構造に反応してしまうという現象です。   あと、きな粉を食べて、具合が悪くなる人は、絶対、ニッケルアレルギーで、ニッケルで反応すると   そのうち、パラジウムにもアレルギーが出ますので、間違いなく歯科金属アレルギーです。

一つに出てくると、似たものにも反応が出始めるので、怖いですね。

自分が、アレルギー体質で、歯医者になった当時、グローブで手が血だらけになり悩まされたので   しょうもないことで、アレルギーを引き起こしたくないという思いがあります。

どんな、詰め物も異物です。   子供の頃からむし歯ゼロを目指して、子供の教育も頑張っています。