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SAI DIARY

nobel biocare 主催 インプラントセミナー

 先日、小濱忠一先生の講習会を受講してまいりました。

非常に、論理的に考察されていて、さすが、小濱先生と感銘を受けました。以前から尊敬している先生の1人です。

 

私が、インプラントを始めて、15年程経過しました。

インプラントに関しては、やはりやり直しが効かないものなので、長期経過がはっきりしない材料や

方法は採用しない方針でやってきました。今後もその方針は変わりません。

私のインプラントのヒストリーを大雑把にまとめます。 

最初の勤務先は、韓国社製のプラトンというインプラント。

その選択基準は、院長の性格から推測すると「安いし、基本構造は一緒」ということだったのではないかと思います。見ているだけでした。

次の勤務先は、日本製のマイティス。共同開発ということもあり、最初の埋入キットが無料で頂けたり、機械研磨の幅を個人的な希望で変更してくれたり、親切な会社でした。

それでも、インプラント開発に出遅れている日本製ということもあり、ラインナップは少なく、不安な部分はありました。その時の患者さんを今でも、診ていますが、ロストはしていないので、シッカリとした作りだったのだと思います。

12年前開業するにあたって、会社が絶対に潰れないことと、信念を持って製品を作っているかという基準で、nobel biocareノーベルバイオケアのインプラントを採用しました。

そもそも、チタンが骨にくっつき歯の代わりとなるという研究は、スウェーデンの整形外科医ブローネマルク先生という方が最初に発表し、その会社がノーベルバイオケアです。

そして、ブローネマルク先生への敬愛が半端ない小宮山先生という方が日本で、ブローネマルクオッセオインテグレーションセンターを設立されています。

かつて、小宮山先生の講習会出ましたが、それはそれは熱く、インプラントを語っておられ、非常に感銘を受けました。

「フラップレスはしない」「抜歯即時埋入および即時負荷はしない」方式でやって来て、小宮山先生も「フラップレスなんて、術者の自己満足。骨を確認しないで、患者に早くて上手いと思われたいからでしょ」と話しておられました。

 

今回、小濱先生の経過症例を拝見して、フラップレスや抜歯即時埋入の優位性も間違いなくあり、症例によって使い分けが必要だと感じました。

これは、歯科用CTの普及に伴うものだと思います。

歯肉を剥離しなくても、残存骨を確認出来るので、直接見なくても、見ているのと変わらないのです。 

そして、抜歯後は造骨細胞が非常に活性化され、その治癒に乗っかることの優位性は高いと感じました。

 

小濱先生は、ノーベルバイオケア社の製品を使ってきて、一時期、ストローマンに変更したものの、すぐにノーベルに戻しています。 

ずっとノーベルの製品を使っていると、他のドクターから「ストローマンが良い」と言われ、かといって、ノーベルで一度も困った事がありません。1番良い物を使いたい思いと、ノーベルも1番良いんじゃないかと言う思いでざわざわしていました。

 

小濱先生は、両方使い、その違いを実に詳細に述べておられました。

ストローマンが、販売で多用しているデータが、公平性に欠け、ドイツでデンツプライシロナと裁判に発展し、敗訴していることを知りました。ストローマン社が広く普及したインプラント周囲炎に関する結果については、統計学的に有意差はないと裁判所が判決を出しているのです。

 

自社に都合のいいデータだけ、販売促進のため引用する会社の姿勢は恐ろしく、全く信用出来ないと感じました。聞けば聞くほど、適当な会社なようです。

 

現時点の表面性状に対する解釈

つまりインプラントブランドに対する解釈となりますが、インプラント周囲炎と相関関係はないとなります。

最初の勤務先の院長の判断は間違ってないのですね。どこのメーカーでも骨とくっつけば、使えます。

 

ただし、埋入がゴールではなく、上部構造が入って、ようやく噛む事が出来ます。インプラント体と上部構造の連結の精度や歯の形は、CADCAMの時代の今、デジタル系の格差が重要となります。

 

ノーベルの現社長が、技工士で、元プロセラの責任者出身である為、より一層、インプラント体と上部構造の精度やバリエーションは進化を遂げるはずです。

 

インプラント周囲炎のリスク因子は

 

口腔衛生状態

セメントなど異物

周辺歯肉の状態

インプラントとアバットメントの連結様式

 

が挙げられます。連結様式以外が、個々の患者の状態となり、連結様式がインプラントブランドによって異なります。

悪口を書いても仕方がないので、ここでは詳しく書きませんが、ノーベルバイオケアの上部構造体は十分優秀で、信頼のおける物ということを、小濱先生のデータから知ることが出来ました。

 

あとは、術者の腕次第ですね。

 

先日、付着歯肉不足のケースで、4年目にインプラント周囲炎に罹患し、除去しました。

その再手術中に、インプラントが割れるという経験をし、個人的には、一通り経験したなという

気分です。割れた時のレスキューキットというものがあるのですが、それでもレスキューできず、どんどん、裂けていき、立ち会ってくれていたノーベルの担当者がどうしようかと他院の先生に電話をしている中、肝が据わり、「抜歯の要領で除去しかないわ」と周囲骨を削り、無事除去完了です。

結果的にやはりその方法しかないと、担当者から事後報告を受けました。

その後、別の日にインプラントの埋入は無事終えました。

しかし、そもそも、ロストした原因は、周囲にしっかりとした歯茎がないことなので、また日にちを空けて、遊離歯肉移植をすることになっています。

骨を作ったり、歯茎を剥がして、縫い付けたり・・・。

しなくてはいけないことがあり、勉強は永遠に続くのですね。

そして、私に体を預けてくださる患者さんには、感謝の気持ちでいっぱいです。