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SAI DIARY
歯周病の最新知識 ・ 21世紀の歯周病の実態
2016年3月15日北区歯科医師会学術講演会に、母校でお世話になった天野敦雄教授が来て下さいました。
学生時代に眠くならない講義をされる先生という記憶があったので、日曜日でしたが、衛生士と共に勉強へ
行って来ました。やはり、話の進め方が相当上手なので、あっという間の3時間でした。
「歯周病の原因は何か?」そして「我々は歯周病を克服したか?」という大きな疑問に対し、
科学の進歩により、多くのことが明らかになっていました。
これは、21世紀のことなので、20世紀に大学を卒業している私は、この最新の話を
学生時代の講義で聞いていないということなのですね。
一生、勉強なのですねぇ。
ちなみに、歯周病は、2001年ギネスブックに載っているそうで「人類史上最大の感染症」
「地球的規模で蔓延」とのこと。確かに・・・。
日本人の80%が歯周病で、45%は治療が必要。10%が深刻な歯周病→歯を失う。
つまり、インプラント患者の半数以上がインプラント周囲炎になるのは当たり前?
もう開業して、10年超えましたけど、ちょっと自慢ですが、当院から入れ歯になった人は
たぶん一桁人です。かなり一生懸命、歯を残す努力をしています。
だから、インプラントの症例がそれほど多くあるわけではありません。
インプラントが嫌いなわけではないですが、「歯を磨く」「歯をきれいにしておく」という
習慣を維持できない人に対して、インプラントを入れたところで、結局、ダメになってしまうので
インプラントで簡単に治そうだなんて考えないで欲しいのです。
従って、時にはちょっとSっぽく、がむしゃらに、口腔清掃を強要しますので、そういうのが
嫌な患者さんは、私以外の病院へ行くのかなと思います。結果、歯のない人が私のところには
少なくなるのかも知れませんね。これからは優しく指導を心がけます。
この10年くらいで、インプラントは急速に広まりましたが、歯科先進国のスウェーデンでは
どうなっていると思いますか?
スウェーデンで、2277本のインプラントの9年後を調査する実験がありました。
まず、対象者の3/4以上がリコールから脱落。つまり、どうなっているか分らないし、
もうそのインプラントが無いかもしれないし、歯科できちんとクリーニングを受けていない人が
過半数ということです。
調査に来た患者のインプラントを調べたところ
インプラント周囲の検査で出血が見られ、0.5mm以上の骨の減少が見られたのが45%
2mm以上の骨の減少が見られた人は14.5%
インプラント周囲炎になっているインプラントが約半数。
来なかった人は、もっと悪くなっている可能性が高い。
自分の歯を守れない人は、インプラントも同じようにだめになるということが明らかになってきて
おり、ここ最近のトレンドとしては、どうインプラントを成功させるかばかりに歯科医は
傾いていたが、大きな間違いだったという主旨のことを、スウェーデンのインプラントの権威が
述べているそうです。歯を残す努力が大切なのです。
インプラント周囲炎は、天然歯の歯周病と同じです。
特に喫煙者の場合、歯茎はボロボロで、急速にインプラント周囲の骨を失うことになります。
安易にインプラントで治るなんて、考えてはだめですよ。
インプラントをロストするリスクを数値化すると
健康な人 1倍とすると
歯周病の人 4.08倍
1本でも歯がない人 1.64倍
インプラント本数が4本以下の人を 1倍とすると
4本以上の人は 15倍
インプラントの専門医が手術した場合を 1倍とすると
普通の歯科医がインプラントの手術をすると4倍
ということは、歯周炎で4本以上のインプラントを普通の歯医者が手術した場合の失敗の確率は
282.89倍ということで、ハイリスク過ぎる事が、分ります。
次は、歯周病の原因菌がDNA検査で明らかになったので、そのお話です。